terutsuetto-tura
 15日、東京競馬場ではヴィクトリアマイル(G1)が行われ、4番人気のソダシが快勝。純白のアイドルホースが昨年の桜花賞(G1)以来となるビッグタイトルをつかんだ。

 好スタートを切り、道中はインの好位4番手を進んだソダシ。直線早めに抜け出すと、最後までしぶとく伸びて後続に2馬身差をつけた。

 2着は中団のやや前目の6番手から外を伸びたファインルージュ、3着には2番手を進んだレシステンシアがクビ差で入った。さらにハナ差の4着には18番人気ながら驚異の粘り腰を発揮したローザノワールが入線。結果的に先行勢が上位を占めた。

 そんな“前残り”のレースで、道中は最後方を進んだのが8番人気テルツェット(牝5歳、美浦・和田正一郎厩舎)だった。


再び「旋風」が期待されるD.レーン騎手だが…
 

 短期免許で来日中のD.レーン騎手を背に、大外18番枠からの発走となったテルツェット。最後の枠入れで、好スタートを切るかと思われたが……。

「いやー、まさかの立ち遅れでしたね。確かに出遅れ癖のある馬ですが、枠入れが最後だったこともあり、普通に出てくれると期待していました。出遅れ自体たいしたことはなかったのですが、ゲートを出て大きく外に膨れてしまったのが痛かったですね。

その後のリカバリーですが、差し馬とはいえ、鞍上は先行策を得意とするレーン騎手です。せめて中団くらいまで位置を取りに行ってほしかったというのが本音ですね。腹をくくって最後方を選択したと思いますが、さすがにスローペースではあの位置からは届くはずもありません」(競馬誌ライター)

 結果的に無策にも見える出遅れからの後方待機、直線大外ブン回しという騎乗を披露し、13着に敗れたテルツェット。実は、レーン騎手は「ムチの使用法」をめぐって、今回の来日で既に2回処分を下されているという。

 1回目は先週日曜(8日)の東京10R・メトロポリタンS(L)でヴァイスメテオールを勝利に導いた際の出来事。最後の直線で外に斜行したことで5万円の過怠金を科せられたことに加え、最後の直線で「風車ムチ」と呼ばれる使い方で、20発以上のムチを連打。この件について戒告を受けていた。

 そして2回目は今週土曜(14日)の東京4Rで発生。後方から直線で一気に先行勢を飲み込んだ会心の勝利だったが、ここでも「ムチの使用法」を理由に過怠金1万円を科せられている。
「レーン騎手は処分を受けた2レースとも勝利を飾りましたが、さすがに2週連続となると、JRAからもきつめのお灸をすえられるかもしれません。一方で、ヴィクトリアマイルでは反省の色を見せたのか、直線では5~6発しかムチが飛んでいませんでした。一応、上がり最速タイを記録していますが、あの位置からでは……。

出遅れた時点で諦めたわけではないと思いますが、ネット上の競馬ファンからは『テンダメ、中ダメ、終いダメ』や『無気力騎乗すぎる』など非難の声が目立っていましたね」(同)
 
 コロナ禍の影響で以前ほど外国人騎手の来日が容易ではなくなっている昨今。レーン騎手としては、満を持しての日本襲来のはずだった。しかし、この日はヴィクトリアマイルを含めて3鞍の騎乗にとどまるなど、引く手あまたという状況でもないのが現状だ。

 初来日時には約2か月間でG1・2勝を含む重賞6勝を挙げるなど、“旋風”を巻き起こしたレーン騎手。今回の来日では、このまま“微風(そよかぜ)”に終わってしまうのだろうか。
(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/gj/2022/05/post_295751.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.